『ゾンビーワールドへようこそ』のあらすじと感想(ネタバレあり)
問1 この世がゾンビに支配されても希望を捨てずに戦い抜いて世界を救えるかっこいい人間になるには?
答1 ボーイスカウトに入れ!!!!!
総合評価【★★★★★】
何回観ても面白いわ。
概要
『ゾンビーワールドへようこそ』は2015年の作品。監督はクリストファー・ランドンです。
この方、『パラノーマル・アクティビティ2』以降の同シリーズの脚本に参加、また監督作品には『ハッピー・デス・デイ』『ハッピー・デス・デイ 2U』等があります。ここだけの話、今挙げた作品全部好き。
2021年1月公開予定だった新作の「ザ・スイッチ」もすごく楽しみにしていました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で公開延期になっちゃったけどずっと待ってるからね。(恋か)
続いて出演者。いろいろ頑張る3人組、ベン役はタイ・シェリダン(2018年の『レディ・プレイヤー1』主演)、カーター役はローガン・ミラー、オギー役はジョーイ・モーガン、忘れちゃいけないクールビューティーなストリップバーのウェイトレス、デニース役はサラ・デュモンです。
あらすじ
ボーイスカウトに所属している高校1年生のベン、カーター、オギーは今日も新隊員の獲得に失敗。それもそのはず高校生にもなってボーイスカウトなんて、ダサすぎるのである。正直言ってベンとカーターもそろそろ女の子たちと遊びたいお年頃。しかし昔と変わらずボーイスカウトに熱中し楽しそうにしているオギーを見ると“辞めたい”とは言い出せない日々を過ごしていた。
そんなある日、パーティーに誘われたベンとカーターはボーイスカウトのキャンプを抜け出すことに。オギーを裏切ることに罪悪感を覚えるベン、完全に性欲に支配されパーティーを楽しむつもりしかないカーター、2人は裏切りに気づいたオギーと喧嘩別れをしてパーティー会場に向かうが、町にはゾンビが溢れていた。
感想(ネタバレあり)
邦題からなんとな〜くB級映画の匂いが漂う本作、冒頭いきなりノリノリミュージック(爆音)で踊る清掃員と、ガラスの向こうの彼に目も暮れず青く薄暗いラボで静かに作業する1人の研究員というなかなか洗練された対比から始まる。この時点であれ?これはタイトルに似合わずなかなか良いゾンビ映画かも?
と思った私の期待をとっても素晴らしい意味でとんでもない方向に裏切ってくれました!先に言っておきます。これはゾンビ映画ではない!!!!!!!!(強調)
ではなにかと言うと「めちゃくちゃ壮大でめちゃくちゃ大袈裟でめちゃくちゃカッコいいボーイスカウト勧誘プロモーションビデオ(93分)」です。
冴えない男子高校生3人組(with銃が似合う美女)が長年のボーイスカウト経験で培ったあらゆる専門技能を武器として、ゾンビに支配された町を駆け抜け、世界を救うのだ。
原題『Scouts Guide to the Zombie Apocalypse』を確認してたらもう少し心の準備ができていたかもしれませんが、とりあえずゾンビ映画ならなんでもいいや〜ってあらすじも読まずに観てしまったので完全に準備ゼロの柔らかな心をいきなり強コンテンツで横殴りされた気分でした。なんだこれすごいぞ。
まずゾンビ本格登場までの序盤の伏線張りがシンプルに上手い。消えた鹿はもちろん(『新感染 ファイナル・エクスプレス』も鹿でしたね〜)圏外のスマホとかね。
人間模様の描き方もなかなかスマート。うん、なんか意外とちゃんとしてる映画だなって思わせてくれる。このあと、お○ん○んバンジージャンプするなんて想像もできない真面目な作り。
そして、テンポがとても良い。速度のあるストーリー展開で難しい理屈や道徳をぶっ飛ばして視聴者をエンターテイメントジェットコースターに乗せようという気概を感じる。入れ歯ババアゾンビとの感染能力ゼロバトルとかもう大好きだよ。
あと、冒頭からそうなんだけど、音楽の使い方も上手くて、ここぞというタイミングで突然やたら壮大で大袈裟なナイスミュージックを流しはじめる謎の作品システムに疑問を抱く暇もなくあっという間に飼い慣らされてしまう。わん!(パブロフのオタクふたたび)この手法で緊迫したシーンや間延びしがちな台詞なしシーンも強引にテンポ良く乗り切るのですごい。
総評としては、シリアスとコミカルのバランスがめちゃくちゃ良くて、テンポも良くて、最後まで楽しく観られる良作。ありがとう、良いゾンビ映画です。
彼らがボーイスカウトで培ったあらゆる専門技能を駆使し、いかにしてゾンビーワールドを戦い抜いたか、それは本当に初見時の衝撃と爆笑を奪いたくないので極力ネタバレは避けたいんだけど、最後に1つだけ言うと、パーティー会場に取り残された人々を救うため、3人が乗り込むシーンがかっこよすぎて一生忘れられないよ。
ホームセンターで自作した大型武器を背負って仁王立ちで登場するシーン、マジでゾンビバスターズだし、マジでかっこよすぎてお前らもうパーティーにも呼んでもらえないクソダサボーイスカウトなんかじゃないよ!!!!めちゃくちゃかっこいいよボーイスカウト!!!!!ってなる。もちろん例のごとく壮大で大袈裟な爆音ナイスミュージックも流れるのでなんかもうすごくかっこいいのにすごく面白くて大笑いしながら感動で泣きそうになる。もう意味がわからん。意味わかんないけど、とにかくボーイスカウトってかっこいい。ボーイスカウト最高。んで、最後の最後までストリップバーのウェイトレスのデニースが良い仕事する。姉さん、あんた本当に素敵な女だな。
兎にも角にも「めちゃくちゃ壮大でめちゃくちゃ大袈裟でめちゃくちゃカッコいいボーイスカウト勧誘プロモーションビデオ」大成功です。
昨年、甥っ子が生まれたので大きくなったらボーイスカウトを勧めようと思います。
楽しく笑って観れる映画をお探しの方、ゾンビ映画が好きな方、ボーイスカウトに勧誘されているが参加するか迷っている方におすすめです。
※ただし、性欲に支配された男子高校生の愚行や、おち○ち○バンジージャンプなど、厳粛な家族団らんには向かない描写のある映画となっておりますので、ご注意ください。
アマゾンプライム会員さんなら無料で今すぐ観れますのでよろしくお願いいたします!面白かったら同じくクリストファー・ランドン監督の『ハッピー・デス・デイ』シリーズも是非観てください!!
ところで、この邦題、なんで“ゾンビ”じゃなくて“ゾンビー”なん?ご存知の方、いらっしゃいましたらコメントかTwitterのほうで教えていただけると大変嬉しく思います。よろしくお願いいたします。
『ゾンビーワールドへようこそ』ってなんで“ゾンビ”じゃなくて“ゾンビー”なん?
— PUI PUI みどり (@midori_au14) 2021年1月22日
それではまた次の映画でお会いしましょう!
『心霊マスターテープ』のあらすじと感想(ネタバレ少々あり)
何を隠そう真剣禍話リスナー(封印回以外の過去アーカイブぜんぶ聴く取り組み中)の私ですが、禍話の出演が決まったと発表があるまで『心霊マスターテープ』という作品のことを全く知らなかった。ごめんなさい。
総合評価【★★★★★】
今年初視聴ホラー作品は「心霊マスターテープ」でした。(アマプラ)もうね〜こういうの超大好き。チープでリアルな人間模様と終盤にぐんと加速していく恐怖感のバランスがよし。久しぶりにワクワクできるモキュメンタリーだった。これは禍話出演の2も楽しみ。「恐怖を欲する事は死よりも恐ろしい」 pic.twitter.com/AyoBRCiLle
— みどり (@midori_au14) 2021年1月12日
概要
というわけで、まずは概要とあらすじ。
あらすじ
ビデオカメラによって偶然捉えられた幽霊の姿や不可思議な自然現象を記録した映像「心霊ビデオ」それらの真偽、謎を調査したドキュメンタリーが通称「心霊ドキュメンタリー」である。特に、一般投稿された心霊映像を自ら取材するスタイルは視聴者からの多くの支持を得て、絶大な人気を確立していく。
ディレクター寺内康太郎は、心霊ドキュメンタリーのパイオニアと呼ばれる日本初の心霊ディレクター中村義洋監督を取材をする「日本初の心霊ディレクターを追え」を制作していた。
しかし、その密着取材最終日、寺内は中村氏から驚きの言葉を聞くことになる。
これでは完全に企画倒れである。まずい。非常にまずい。ここは会議だ。会議しかない。
寺内は「謎は謎のまま表現して完結したほうがいい」と提案。しかし局(エンタメ〜テレ)側はこのまま『知られざる心霊世界』を探し企画を続けることを提案。
当然ながら局の意向は絶対☆
というわけで企画転じて日本初の心霊ドキュメンタリー『知られざる心霊世界』を探すことになったディレクター寺内であるが、有力な情報は得られず、同業者である心霊映像業界の関係者たちに協力を求めることに。
感想
いや、6話ぶっ通しで観てしまいました。面白すぎて3時間が一瞬で溶けた。ジャンルとしてはモキュメンタリーになると思います。
※モキュメンタリーとは「映画やテレビ番組のジャンルの1つで、フィクションを、ドキュメンタリーのように見せかけて演出する表現手法」のこと。(モキュメンタリー - Wikipediaより)
ちなみに私がモキュメンタリーの手法を使った作品を好むようになったのは白石晃士監督作品に出会ったことがきっかけなんですがこの話は長くなるので割愛。一言で言うなら宇野祥平さんが出演しているホラー作品ぜんぶ星5つける。(過激派オタク)
えっと、話を戻して。本作の一番の特徴は、実在しない人物を役者が演じてドキュメンタリー風作品を作るモキュメンタリーではなく、実在する人物を実在する本人が演じるモキュメンタリーであるという点だと感じました。
しかもその登場人物たちは、実在の、今をときめく、知る人ぞ知る、有名心霊ドキュメンタリー作品のディレクターたち!本物!本物のヒロイン!本物の監督!本物の出演者たち!わー!本人だー!もうわからなくなってくるよね、どこまでが真実でどこからが真実じゃないのか。ウフフ。(興奮)
で、ここからはちょっとネタバレになるんですが、物語の中盤から謎のカメラ男の呪いによって寺内監督の同業者たち(前述のスーパー出演者たちね)がもうバッタバッタと倒れていくんですね。もうそのスピード感がすごい。容赦ない。呪いという作品内ギミックを得た寺内監督やりたい放題。冷徹な作風で次々と同業者を退場させていく。たまらんね。これがモキュメンタリーの醍醐味ですよ。
心霊ビデオ好きなオタクの皆さんならこれだけでも大興奮間違いなしの心霊ディレクター大乱闘スマッシュブラザーズです。(大乱闘スマッシュブラザーズって言いたいだけ)
可愛い女の子要員として用意されたアシスタント涼本奈緒と寺内監督との間に繰り広げられるめちゃくちゃチープないざこざ&仲直りも良い。お約束テンプレ。オタクはパブロフの犬なのでお約束事をちゃんと守ってくれる作品に弱い。条件反射でよだれ出る。
ニコ生演出もいいんですよね。『知られざる心霊世界』について情報提供を得るためのニコ生出演シーンでは視聴者のコメントを画面にニコ生らしく表示してリアリティを生み出してる。まあここまでなら一時期流行った手法だよね〜なんだけど、これがすごいのは実際の生配信番組を観ていた視聴者のコメントを使っているという点。今まさにリアルな現実世界を生きている私たち視聴者のコメントなんですね。
実在する人物を演じる本人たち、画面を走る私が書いたコメント。もうどこからがドキュメンタリーでどこまでがモキュメンタリーなのか、わからなくなってくるよね。侵食してくるんだよ、このモキュメンタリーは。現実に。もうすでに私たちは無関係じゃない。寺内康太郎という天才。出会えてよかった。
余談ですが、この手法は心霊マスターテープ2では、禍話出演シーンなどに使われるのかなあと予想しています。(※ここで初めて説明、禍話というのは猟奇ユニット・FEAR飯による怖い話ツイキャスラジオ)ツイキャス上で行われた心霊マスターテープ2の公開生収録ではリスナーも寺内監督の演出指導を受け、コメント欄は芝居の嵐。私も「ぎゃーーー」とか「それは流石にやばくない?」とか書いてきましたよ。モノづくりの現場に立ち会えたこと、ものすごく面白い経験になりました。ウフフ。(興奮)
そして極めつけは、最終話に登場するゾゾゾ。(詳しくは自分の目で確かめてくださいね!)ゾゾゾはYouTubeで活動するホラーエンターテイメント番組。このシーンは本当にゾッとしましたね。寺内康太郎はすでにYouTubeをも手中に収めている。想定以上。ニコ生を喰らい、YouTubeを喰らい、加速的に肥大していく寺内ホラーモキュメンタリー。それは密かに、大胆に、現実を侵食していく。私たちを手中に収めていく。この長々しい感想文を最後まで読んだあなたも私ももう同じ穴の狢ですよ。
「恐怖を欲する事は死よりも恐ろしい」
つまりは、そういうこと。
ホラーオタクの方、面白いモキュメンタリー作品をお探しの方、とりあえず今から3時間空けれられる方におすすめです。
Amazonプライムの会員さんなら、すぐに観れるよ。よろしくお願いします。観てね。マジで。傑作だから。観て。
ではまた次回の動画でお会いしましょう!