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『心霊マスターテープ』のあらすじと感想(ネタバレ少々あり)

 

日本初の心霊ディレクターを追え

日本初の心霊ディレクターを追え

  • 発売日: 2020/02/01
  • メディア: Prime Video
 


何を隠そう真剣禍話リスナー(封印回以外の過去アーカイブぜんぶ聴く取り組み中)の私ですが、禍話の出演が決まったと発表があるまで『心霊マスターテープ』という作品のことを全く知らなかった。ごめんなさい。

 
自転車で片道40分かかる地元レンタルビデオショップの小さなホラー映画コーナーにあったDVDを片っ端から借りて観ていた私ですが、心霊ビデオ系には手を出していなかった。だって怖そうじゃん。映画は絶対フィクションだけどビデオ系はフィクションじゃないかもしれないじゃん。わかんないじゃん。怖いじゃん。
 
関係ないけど、過去アーカイブぜんぶ聴く、とか、片っ端から借りて観る、とかどうしていつも行動が過激派オタクみたいになっちゃうんだろう。(過激派オタクだからだよ)
池の水もぜんぶ抜く。
 
というわけで、ホラービデオ系(映画ではないやつ)もそろそろ勉強していきたいなあと思っていた矢先に『心霊マスターテープ2』に禍話出演!とのニュースを聞き、2があるならまずは1をチェックしなくては!ということで、視聴してまいりました。根が真面目なオタクなのでシリーズものはちゃんと1から観ます。
 
2020年末にかけて離婚届提出などの騒動があり(急にエピソードが重い)なかなか落ち着いて楽しくホラーを鑑賞する時間が取れず、『心霊マスターテープ』は私にとって記念すべき2021年初視聴ホラー作品となりました。
 

総合評価【★★★★★】

概要

というわけで、まずは概要とあらすじ。

『心霊マスターテープ』は全6話(1話25分)連続テレビドラマである。エンタメ〜テレ制作、監督は寺内康太郎さん。
 
出演者には、岩澤宏樹(心霊玉手匣)、古賀奏一郎(Not Found)、福田陽平(監死カメラ)、谷口猛(心霊×カルト×アウトロー)、松本了(心霊曼邪羅)、杉本笑美(Not Found)、上園貴弘(心霊玉手匣)、佐藤あずさ(心霊曼邪羅)、井川広太郎(境界カメラ)、ナリモト(境界カメラ)など、ホラービデオに詳しくない私でも知っているタイトルのディレクターさんやアシスタントさんたちの名前が。わくわく。
 

あらすじ

ビデオカメラによって偶然捉えられた幽霊の姿や不可思議な自然現象を記録した映像「心霊ビデオ」それらの真偽、謎を調査したドキュメンタリーが通称「心霊ドキュメンタリー」である。特に、一般投稿された心霊映像を自ら取材するスタイルは視聴者からの多くの支持を得て、絶大な人気を確立していく。

ディレクター寺内康太郎は、心霊ドキュメンタリーのパイオニアと呼ばれる日本初の心霊ディレクター中村義洋監督を取材をする「日本初の心霊ディレクターを追え」を制作していた。

しかし、その密着取材最終日、寺内は中村氏から驚きの言葉を聞くことになる。

 
「『知られざる心霊世界』聞いたことない?」
 
中村氏によると心霊ドキュメンタリーというジャンルが産声をあげた90年代後半よりもはるか前の80年代に作られた心霊ドキュメンタリー作品、それが『知られざる心霊世界』だという。
 
「中村さんじゃないんですか?日本初の心霊ディレクターって…」
「僕は「初」とか「元祖」ではないですね」
 

これでは完全に企画倒れである。まずい。非常にまずい。ここは会議だ。会議しかない。

寺内は「謎は謎のまま表現して完結したほうがいい」と提案。しかし局(エンタメ〜テレ)側はこのまま『知られざる心霊世界』を探し企画を続けることを提案。

当然ながら局の意向は絶対☆

というわけで企画転じて日本初の心霊ドキュメンタリー『知られざる心霊世界』を探すことになったディレクター寺内であるが、有力な情報は得られず、同業者である心霊映像業界の関係者たちに協力を求めることに。

局の意向で行動を共にすることになった可愛い女の子アシスタント涼本奈緒、そして協力者たちと共に『知られざる心霊世界』を探し続ける寺内は、やがて想像を絶する真実に辿り着くこととなる。(マジで)
 

感想

いや、6話ぶっ通しで観てしまいました。面白すぎて3時間が一瞬で溶けた。ジャンルとしてはモキュメンタリーになると思います。

※モキュメンタリーとは「映画やテレビ番組のジャンルの1つで、フィクションを、ドキュメンタリーのように見せかけて演出する表現手法」のこと。(モキュメンタリー - Wikipediaより)

ちなみに私がモキュメンタリーの手法を使った作品を好むようになったのは白石晃士監督作品に出会ったことがきっかけなんですがこの話は長くなるので割愛。一言で言うなら宇野祥平さんが出演しているホラー作品ぜんぶ星5つける。(過激派オタク)

えっと、話を戻して。本作の一番の特徴は、実在しない人物を役者が演じてドキュメンタリー風作品を作るモキュメンタリーではなく、実在する人物を実在する本人が演じるモキュメンタリーであるという点だと感じました。

しかもその登場人物たちは、実在の、今をときめく、知る人ぞ知る、有名心霊ドキュメンタリー作品のディレクターたち!本物!本物のヒロイン!本物の監督!本物の出演者たち!わー!本人だー!もうわからなくなってくるよね、どこまでが真実でどこからが真実じゃないのか。ウフフ。(興奮)

で、ここからはちょっとネタバレになるんですが、物語の中盤から謎のカメラ男の呪いによって寺内監督の同業者たち(前述のスーパー出演者たちね)がもうバッタバッタと倒れていくんですね。もうそのスピード感がすごい。容赦ない。呪いという作品内ギミックを得た寺内監督やりたい放題。冷徹な作風で次々と同業者を退場させていく。たまらんね。これがモキュメンタリーの醍醐味ですよ。

心霊ビデオ好きなオタクの皆さんならこれだけでも大興奮間違いなしの心霊ディレクター大乱闘スマッシュブラザーズです。(大乱闘スマッシュブラザーズって言いたいだけ)

可愛い女の子要員として用意されたアシスタント涼本奈緒と寺内監督との間に繰り広げられるめちゃくちゃチープないざこざ&仲直りも良い。お約束テンプレ。オタクはパブロフの犬なのでお約束事をちゃんと守ってくれる作品に弱い。条件反射でよだれ出る。

ニコ生演出もいいんですよね。『知られざる心霊世界』について情報提供を得るためのニコ生出演シーンでは視聴者のコメントを画面にニコ生らしく表示してリアリティを生み出してる。まあここまでなら一時期流行った手法だよね〜なんだけど、これがすごいのは実際の生配信番組を観ていた視聴者のコメントを使っているという点。今まさにリアルな現実世界を生きている私たち視聴者のコメントなんですね。

実在する人物を演じる本人たち、画面を走る私が書いたコメント。もうどこからがドキュメンタリーでどこまでがモキュメンタリーなのか、わからなくなってくるよね。侵食してくるんだよ、このモキュメンタリーは。現実に。もうすでに私たちは無関係じゃない。寺内康太郎という天才。出会えてよかった。

 

余談ですが、この手法は心霊マスターテープ2では、禍話出演シーンなどに使われるのかなあと予想しています。(※ここで初めて説明、禍話というのは猟奇ユニット・FEAR飯による怖い話ツイキャスラジオ)ツイキャス上で行われた心霊マスターテープ2の公開生収録ではリスナーも寺内監督の演出指導を受け、コメント欄は芝居の嵐。私も「ぎゃーーー」とか「それは流石にやばくない?」とか書いてきましたよ。モノづくりの現場に立ち会えたこと、ものすごく面白い経験になりました。ウフフ。(興奮)

 

そして極めつけは、最終話に登場するゾゾゾ。(詳しくは自分の目で確かめてくださいね!)ゾゾゾはYouTubeで活動するホラーエンターテイメント番組。このシーンは本当にゾッとしましたね。寺内康太郎はすでにYouTubeをも手中に収めている。想定以上。ニコ生を喰らい、YouTubeを喰らい、加速的に肥大していく寺内ホラーモキュメンタリー。それは密かに、大胆に、現実を侵食していく。私たちを手中に収めていく。この長々しい感想文を最後まで読んだあなたも私ももう同じ穴の狢ですよ。

「恐怖を欲する事は死よりも恐ろしい」

つまりは、そういうこと。

 

ホラーオタクの方、面白いモキュメンタリー作品をお探しの方、とりあえず今から3時間空けれられる方におすすめです。

Amazonプライムの会員さんなら、すぐに観れるよ。よろしくお願いします。観てね。マジで。傑作だから。観て。

 

日本初の心霊ディレクターを追え

日本初の心霊ディレクターを追え

  • 発売日: 2020/02/01
  • メディア: Prime Video
 

 

ではまた次回の動画でお会いしましょう!